はじめに|「大島って、台風多くない?」
「伊豆大島って、
台風が多くない?」
島の天気を見ていると、
そう感じる方もいるかもしれません。
結論から言うと、
単なるイメージだけとも言えません。
気象庁の平年値では、
伊豆大島を含む伊豆諸島・小笠原諸島は、
関東本土側より台風の接近が多い地域です。
ただし、
ここで大切なのは、
**大島で台風を強く感じる理由は、
回数だけではない。**
ということ。
海が荒れれば、
船の運航に影響が出る。
そして船が運んでいるのは、
人だけではありません。
ときには、
その影響がスーパーの商品にまで見えてくることがあります。
今回は、
台風を入口に、
「海に囲まれた島で暮らす」ということ
まで見ていきます。
1|伊豆大島は本当に台風が多い?
まずは、
数字から見てみます。
気象庁の1991〜2020年の平年値では、
台風の年間接近数は、
伊豆諸島・小笠原諸島:5.4個
関東甲信地方:3.3個
となっています。気象庁の統計上、伊豆諸島・小笠原諸島は関東甲信本土側より台風接近数が多い地域です。
ただし、
ここはかなり重要です。
**5.4個は、
「伊豆大島だけ」の数字ではありません。**
伊豆諸島と小笠原諸島をまとめた、
広い地域の統計です。
なので、
「伊豆大島には毎年5.4個の台風が来る」
という意味ではありません。
正確には、
**「大島だけ」の数字ではない。
でも、接近しやすい地域にある。**
という理解になります。
また台風の発生・接近は、
一年中同じではありません。
気象庁では、
7月から10月にかけて発生・接近・上陸が多くなる
としています。
旅行時期を考えるときも、
「台風が来る島だから避ける」
ではなく、
その時期の最新情報を見る
ことの方が大切です。

2|なぜ伊豆諸島の近くを台風が通る?
では、
なぜ伊豆諸島周辺では、
台風の接近が多くなるのでしょうか。
まず、
島だから台風が来るわけではありません。
台風は、
上空の風や周囲の気圧配置などの影響を受けながら進みます。
低緯度では西方向へ進み、
太平洋高気圧のまわりを北上。
さらに日本付近の中・高緯度まで進むと、
偏西風などの影響を受けて、
北東方向へ進む台風もあります。
特に9月以降は、
日本の南海上から、
放物線を描くように日本付近を通る台風が増えると気象庁は説明しています。
その進路を地図で見ると、
伊豆諸島は、
日本の南から北上してくる台風の経路と重なりやすい位置にあります。
つまり、
大島が台風を引き寄せているのではない。
日本へ近づく台風の進路の近くに、
伊豆大島がある。
それが、
「大島は台風が多い」と感じる背景の一つです。
ここで気圧や海水温を詳しく覚える必要はありません。
旅行者として知っておきたいのは、
伊豆大島が、台風の影響を受けることがある場所にある
ということだけで十分です。
3|島で台風を強く感じる理由は、回数だけじゃない
ここまでなら、
普通の気象記事でも書けます。
でも、
島で暮らしていると、
台風を強く感じる理由は、
接近数だけではありません。
旅行者にとって、
台風による船への影響は、
「大島へ行けない」
あるいは、
「予定どおり帰れない」
という問題です。
もちろん、
それだけでも旅行には大きな影響があります。
でも、
島で暮らす側から見ると、
もう一つあります。
船が止まる。
そして、
船が運んでいるのは、
人だけではありません。
島で使われている食料や生活用品など、
多くの物も、
海を渡って届いています。
東海汽船では現在も大島を含む東京諸島への貨物輸送を行っており、海況によって船便が欠航する可能性がある場合は、生鮮食料品などを「条件付き受付」とすることがあります。
だから、
台風によって海上輸送に影響が出ると、
旅行者の移動だけでなく、
島へ届く「物」の流れにも影響が出ることがある。
東海汽船を利用する場合、伊豆大島では元町港と岡田港のどちらを使うかが当日の運航状況によって変わることがあります。「そもそも大島の船はどちらの港に着く?」という方は、2つの港の仕組みもあわせて確認してみてください。
ここから先を見ると、
「海に囲まれた島」という言葉の意味が、
少し変わってきます。

4|船が止まると、人だけでなく「物」も来なくなる
「船が止まる」と聞くと、
旅行者にとっては、
大島へ行けない。
予定どおり帰れない。
まず、そうした影響を想像すると思います。
でも、
島へ船が運んでいるのは、
人だけではありません。
野菜や生鮮食品。
荷物。
生活に必要なさまざまな物も、
海を越えて大島へ届いています。
東海汽船では、
海況などによって貨客船が欠航する可能性がある場合、
生鮮食料品を**「条件付き受付」**とすることがあります。
これは、
荷物の受付自体は行うものの、
船が欠航すれば島へ届けられない可能性がある、
という扱いです。
つまり、
**海上輸送に影響が出ると、
島へ届く「物」の流れにも影響することがある。**
ということ。
もちろん、
台風が来たからといって、
必ず島の商品がなくなるわけではありません。
船が止まれば、
すぐに生活が成り立たなくなる、
という話でもありません。
ただ、
普段は当たり前のように並んでいる商品も、
その一部は、
船に乗って海を渡ってきています。
台風の日には、
普段は見えないその流れが、
少しだけ見えることがあります。

5|スーパーを見ると、「島だ」と気づく日がある
自分が子どもの頃、
台風で船が止まったあとに、
スーパーへ行くと、
いつもより棚の商品が少なくなっていることがありました。
中でも、
今でも覚えているのが、
牛乳売場です。
島外から届く牛乳が見当たらなくなり、
そこに、
大島牛乳だけが並んでいた。
そんな光景を見た記憶があります。
子どもの頃は、
特別なことだとは思っていませんでした。
「今日はこの牛乳しかないんだ」
その程度だったと思います。
でも、
大人になってから振り返ると、
あの牛乳売場には、
島で暮らすということが、
とても分かりやすく現れていたのかもしれません。
船で届く商品が少なくなっても、
そこには、
島の中で作られた牛乳があった。
普段スーパーに商品が並んでいると、
それがどこから来たのかまで、
あまり考えることはありません。
でも船が止まると、
「これは海を渡ってきたものだったんだ」
と気づく。
そして同時に、
「島の中で作られているものがある」
ということの意味にも気づきます。
台風そのものの記憶より、
牛乳売場の風景が残っている。
自分にとっては、
それも「島で育った」ということなのかもしれません。
※これは伊豆大島で育った筆者の幼少期の個人的な記憶です。台風時に必ず同じ状況になるという意味ではありません。

今では伊豆大島の特産品として知られる大島牛乳ですが、その歴史もずっと途切れず続いてきたわけではありません。一度島から姿を消し、その翌年、わずか5頭から再出発しています。いつも見ていた一本の牛乳にも、島ならではの物語があります。
6|台風の日に見える「島で暮らす」ということ
伊豆大島を旅行していると、
「海に囲まれている」ということは、
きれいな景色として感じることが多いと思います。
青い海。
水平線。
海沿いの道。
船から眺める島。
でも、
台風によって船の運航に影響が出る日は、
同じ「海に囲まれている」という言葉の意味が、
少し変わります。
人も、
食料も、
生活に必要な物も、
海を越えてやってくる。
普段は、
そのことを意識しなくても生活できます。
でも、
船に影響が出ると、
普段は見えなかった、
島と本土をつなぐ流れ
が見えてくる。
だから、
**海に囲まれている。
それは景色だけの話ではない。**
伊豆大島で暮らすということは、
海の美しさと一緒に、
海の向こうから届く物や人ともつながりながら暮らす、
ということでもあります。
台風は、
もちろん歓迎するものではありません。
伊豆大島でも、
過去には台風によって大きな被害を受けたことがあります。
だからこそ、
旅行で訪れるときも、
「島だから大丈夫だろう」
「昨日の予報では大丈夫だった」
と判断せず、
その日の最新情報を見ること
が大切です。
台風の進路や勢力は変化します。
船の運航状況も、
海況などによって変わります。
旅行前・旅行中は、
と、
を確認してください。
一方、海況が落ち着いて予定どおり大型客船で到着できた日には、朝早くから大島の一日を始められることもあります。夜の東京を出て、朝の島へ着く船旅を考えている方はこちらもどうぞ。
警報や災害リスクを伴わない通常の雨であれば、晴れの日とは違う旅の組み立て方もあります。屋外の予定を減らして、食事や温泉、島を知る時間へ切り替える方法も紹介しています。
「伊豆大島は、
本当に台風が多い?」
最初の質問へ戻ると、
伊豆大島だけの数字ではありませんが、
台風が接近しやすい地域にある
というのが、
統計から分かる答えです。
でも、
島で台風を強く感じる理由は、
回数だけではありません。
海が荒れる。
船の運航に影響が出る。
船に影響が出れば、
人だけではなく、
物の流れにも影響することがある。
そして、
スーパーの棚のような、
普段の暮らしの中にまで、
「ここは島なんだ」
ということが見えてくる日があります。
旅行で見る伊豆大島の海は、
とてもきれいです。
でも、
その同じ海を越えて、
人も、
食料も、
暮らしに必要な物もやってきます。
**海に囲まれている。
それは景色だけの話ではない。**
台風を知ることは、
天気を知ることだけではなく、
伊豆大島という場所で、
人がどう暮らしているのかを知ることにもつながっています。
船の発着港や島での移動など、伊豆大島旅行には島ならではの分かりにくさがあります。
blissでは、LINEから旅行前のご相談も承っています。
ただし、台風の進路や船の運航については、必ず気象庁・東海汽船などの最新の公式情報をご確認ください。
島での移動や過ごし方について迷ったときは、お気軽にご相談ください。
