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伊豆大島・裏砂漠はなぜ黒い?火山と風、消えた表砂漠の歴史

伊豆大島・裏砂漠はなぜ黒い?火山と風、消えた表砂漠の歴史

2026.08.18伊豆大島深掘り裏砂漠三原山伊豆大島ジオパーク火山スコリアレンタカー伊豆大島観光伊豆大島深掘り執筆:株式会社bliss(レンタカー事業)

伊豆大島・裏砂漠はなぜ黒い?火山と風が生んだ景色の歴史

黒い大地は、どのように生まれたのか。火山と風、そして島に刻まれた歴史をたどる。

はじめに

伊豆大島の緑を抜けた先。

突然、足元から遠くの稜線まで黒い大地が広がる場所があります。

三原山の北東側に位置する「裏砂漠」です。

見渡すほどに不思議になるのは、この色が自然につくられたということ。

なぜ黒いのか。

雨の降る島で、なぜ植物が少ないのか。

そして「日本唯一の砂漠」と呼ばれるのはなぜなのでしょうか。

答えは、何度も噴火してきた火山、絶えず吹く風、そして島に刻まれた歴史にあります。

景色が生まれた理由を知ると、裏砂漠の見え方はきっと変わります。


① 裏砂漠は日本唯一の砂漠?その意味を知る

裏砂漠は、伊豆大島の三原山北東側、山頂カルデラの中に広がる黒い地帯です。

周辺に緑がある場所でも、そこへ目を向けると火山灰やスコリアに覆われた地面が広がり、遠くまで見通せる独特の景観が現れます。

「日本で唯一の砂漠」と紹介されることがありますが、この言葉には少し説明が必要です。

大島町は、国土地理院が作成する地図上で「砂漠」と表記されている場所として、裏砂漠を日本で唯一と案内しています。

これは「日本で雨が降らない地域はここだけ」という意味ではありません。

【裏砂漠が日本唯一と呼ばれる理由を公式情報で確認する】

サハラ砂漠のような、極端に降水量が少ない気候によってできた乾燥地帯とは違い、裏砂漠には雨も降ります。

それでも木々が一面を覆わないのは、地表の成り立ちと風の働きに理由があります。

裏砂漠が特別なのは、砂漠という名前だけではなく、火山と風がつくり続けてきた景観そのものにあります。


② 裏砂漠はなぜ黒い?スコリアと火山の関係

裏砂漠が黒く見える最大の理由は、火山が噴き出した暗い色の物質が地面を覆っているからです。

伊豆大島では噴火のたびに火山灰や火山礫が放出され、三原山の北東側へも堆積してきました。

黒い大地は、噴火が終わったあとも残された記録なのです。

その正体を知るうえで欠かせないのが、**「スコリア」**という火山噴出物。

マグマに含まれていたガスが噴火の際に抜け、内部に小さな穴をたくさん残して固まったものです。

見た目には、黒っぽく、ごつごつした軽い石の粒のように見えるものもあります。

では、なぜスコリアは黒いのでしょう。

スコリアは玄武岩質から安山岩質のマグマの噴火で多く見られます。

含まれる成分や鉱物などの性質によって、黒色・灰色・赤褐色などさまざまな色を示します。

つまり、すべての火山灰やスコリアが黒いわけではありません。

裏砂漠では、こうした火山由来の暗色の噴出物が広く地面を覆っていることで、独特の黒い景観が生まれています。

地面を近くで見ると、細かな火山灰と粒状のスコリアなどが混じり、均一な砂の平原ではないことに気づきます。

足元の黒い粒ひとつにも、地下のマグマが地表へ現れた過程が刻まれているのです。

そして、伊豆大島で火山の歴史を感じられるのは裏砂漠だけではありません。

島の海岸にも、同じ火山活動を起源とする黒い景色があります。

【なぜ伊豆大島の海岸は黒い?黒い砂浜が生まれた理由を知る】


③ なぜ植物が少ない?裏砂漠を形づくる強い風

では、なぜ噴火から時間がたっても、裏砂漠には黒い地面が広く残っているのでしょうか。

伊豆大島では雨が降り、周辺には森もあります。

噴火によって植物が失われても、時間がたてば緑が戻りそうに思えます。

その違いを生むのが、島を吹き抜ける強い風です。

伊豆大島は南西風が吹くことが多く、噴火の際には火口の北東方向へ火山噴出物が運ばれて堆積してきました。

さらに、噴火していない時期も強風や雨水によって地表の粒が動きます。

種が地面に落ちても流されたり吹き飛ばされたりし、芽が出ても根を張る前に地面が動いてしまう。

こうした条件が、植物の定着を難しくします。

伊豆大島ジオパークでも、強風や雨水による地表の移動が、裏砂漠の黒い景観を長く保ってきた要因として説明されています。

【風と植物の関係を伊豆大島ジオパークの公式解説で知る】

つまり裏砂漠は、火山が黒い大地をつくり、風がその景色を長く保ってきた場所なのです。

ただし、黒い景色が永遠に変わらないわけではありません。

植物が少しずつ戻っていることも、裏砂漠の大切な特徴です。

では、この景色は過去にどのような変化を経験してきたのでしょうか。

その歴史をたどると、かつての伊豆大島には、今は姿を変えてしまったもう一つの砂漠があったことも見えてきます。


④ 裏砂漠の歴史|かつての表砂漠と1986年の噴火

裏砂漠は、ずっと同じ姿だったわけではありません。

噴火が地面を変え、人々の楽しみ方も変わってきました。

かつて伊豆大島には、「表砂漠」と呼ばれる別の砂漠もありました。

1931年|ラクダとロバがいた砂漠観光

1931年、伊豆大島ではラクダ2頭とロバ11頭が導入され、砂漠観光が行われていました。

これは伊豆大島ジオパークの公式案内にも残る記録です。

今は火山の景色を楽しむ場所として知られる裏砂漠ですが、かつては動物を取り入れた観光が行われていたのです。

同じ場所にも、時代によって違う楽しみ方があったことが分かります。

1950〜1951年|姿を変えた「表砂漠」

かつて山頂カルデラの北西部には、裏砂漠とは別に「表砂漠」が広がっていました。

1950年に始まった噴火は、いったん休止した後、1951年に再び活発化。

三原山から流れ下った溶岩がカルデラの床に広がり、表砂漠の大部分を覆いました。

それまでの砂漠景観は、ゴツゴツした溶岩の地形へ変わったのです。

表砂漠が失われたのは、裏砂漠が消えたという意味ではありません。

それぞれ別の場所にあった砂漠です。

1986年|裏砂漠に新しいスコリアが積もる

1986年11月15日、三原山で噴火が始まりました。

同月21日には割れ目噴火が発生し、全島民が島外へ避難する事態になります。

この噴火は、島の暮らしに大きな影響を残しました。

裏砂漠にも、はっきりした地表の変化がありました。

伊豆大島ジオパークによると、1986年の噴火でスコリアが地表に約20〜60cm堆積したのです。

それまで細かな砂状の噴出物に覆われていた大地の上に、新しい層が重なりました。

いま見える黒い地面には、遠い昔だけでなく、1986年の噴火の記録も刻まれています。

【表砂漠が溶岩に覆われた歴史を公式資料で確認する】

【1986年の噴火と全島避難の記録を知る】

三原山の噴火史をさらに知りたい方は、火口や溶岩の変化をたどる記事も参考にしてください。

【三原山はどんな火山?火口・溶岩・1986年噴火から今の景色を読む】


⑤ 裏砂漠は今も変わっている|黒い大地と植物の再生

裏砂漠の歴史は、噴火が終わっても続いています。

一面黒く見える場所にも、近づくと小さな緑が見つかることがあります。

1986年の噴火以降、裏砂漠では徐々に植物が戻ってきました。

伊豆大島ジオパークでは、イタドリが集まって生える「コロニー」も紹介されています。

また、植物の定着を妨げていた火山ガスの放出は、公式解説によると1990年代初頭から止まっています。

しかし、風や雨で地面が動くため、どこでも植物が同じように育つわけではありません。

黒い地面の中に点在する緑は、自然が少しずつ変化している証拠です。

火山が地面をつくり、風が景観を保ち、やがて植物が戻る。

裏砂漠は過去の痕跡であると同時に、今も変わり続ける自然の姿を見られる場所です。

【火山のあとに植物が戻る仕組みを公式情報で知る】


⑥ 歴史を知ってから裏砂漠を歩くと、景色は変わる

この歴史を知ったうえで裏砂漠に立つなら、少し視線を変えてみてください。

まずは足元の黒い粒。

形や大きさの違いに、火山が残したものを感じられます。

次に植物のある場所。

黒と緑の境目には、噴火後の自然の回復が表れています。

風を感じたら、その風が植物の定着を難しくしてきたことを思い出してみる。

三原山の方を眺めれば、火山と裏砂漠がつながっていることを実感できるはずです。

なお、裏砂漠を含む山頂カルデラ内は富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区。

一般車両の進入は禁止されています。

車は所定の駐車場所に停め、強風・視界不良に注意しながら徒歩で楽しみましょう。

入口・駐車場・歩行距離・服装については、実用ガイドにまとめています。

【裏砂漠の行き方|駐車場・歩行距離・服装を確認する】


まとめ|裏砂漠は、火山島の過去と今が見える場所

黒い大地には、火山が残した物質と、それを動かし続けた風の働きがあります。

砂漠観光の歴史があり、姿を変えた表砂漠があり、1986年の噴火の痕跡もあります。

そして今、黒い地面の中に植物が戻りつつあります。

裏砂漠は完成した景色ではありません。

次に訪れるときは、遠くの絶景だけでなく、足元の一粒や小さな緑にも目を向けてみてください。


伊豆大島の景色を、もっと自由に楽しむために

裏砂漠の歴史を知ったら、次はぜひ実際の景色を見に行ってみてください。

裏砂漠の内部へ車で入ることはできませんが、所定の駐車場所までの移動や、三原山・地層大切断面などを組み合わせた島内観光には、レンタカーが便利です。

blissレンタカーでは、ガソリン代・免責補償込みの料金プランをご用意しています。

伊豆大島を自分のペースで巡りたい方は、ぜひご利用ください。

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